病院での治療法
まずは本人の意思
境界性人格障害の治療は、まず患者本人が治りたいという気持ちが必要です。自分自身が変わりたいと思わないと、治療はうまくききません。無理やり受診させても治療がうまくいかないことが多く、通院も続きません。
治療の基本
これまで境界性人格障害の中心は、個人精神療法でした。現在でもそれは変わりませんが、この治療法は専門家でなくては行えず、治療的にも限界があるということもありました。こうした状況のなか、近年では、患者の直面している問題に目を向け、個々の患者にあわせて、個人精神療法、薬物療法、家族支援、入院治療、社会療法などを組み合わせる治療法が用意されることが基本となっています。
治療のために、まずは診断により患者の状態、成長過程での変化などをみていきます。家族に立ち会ってもらったり、心理テストを行ったりすることもあります。また、患者自身が障害とその治療について勉強することも大切です。「医師や薬への依存」だけでは根本的に回復しないということを理解し、しっかりと治療への動機付けを行う、治療目標を設定する、最低限のルールを決めるといったことが必要になります。対人関係の面で医療スタッフと衝突することもありますが、これには医師と話し合い、あらかじめルールをつくっておく必要があります。不適切な行動がみられた場合は、やむなく治療の中断や入院治療へ切り替わることなどがあります。
認知行動療法などの精神療法
精神療法は、心の内面を探り、問題のありかと解決索を探ります。自分の気持ちをコントロールし、もっと楽に人間関係を築けるようにすることが目的です。まずは、治療の具体的な目標を定めます。ここでは、学校に行く・仕事に就くと具体的な行動をとることが大切です。そして、治療のルールを定めます。ルールを決めることで、「できないこと」をはっきりさせ、患者が欲求のままの行動や治療の混乱を防ぎます。
そして、なぜ問題行動がおこるのか、問題行動によって不安や恐怖から逃れることができたのうかどうかを本人に考えてもらいます。そのときの気持ちを自分の言葉であらわすことで結果を振り返り、問題行動がなにも解決しないということを認識します。
また、よい自分、悪い自分、幼い自分など、どんな自分も患者本人の大切一部であると考えられるようにします。そのことで、ほどほどの感覚が身につき、自分を受け入れられるようになります。
問題行動への認知がうまくいけば行動を修正するようにします。少しずつ少しずつ自分、もしくは周囲に人の助けを借りながら客観的な記録を残していき、実際の行動を記録で理解して、行動と認知のズレを修正していきます。
なお、病院での精神療法、カウンセリングは、週1回程度、1回につき30分~1時間程度かけるのが一般的です。
薬による治療
境界性人格障害の患者のほとんど、9割以上の方は薬による治療を受けているといわれています。薬による治療は、うつ、感情の不安定、衝動の強さといった症状を和らげるために使用されます。薬の種類や量は、患者の状態によって異なります。
なお、薬には副作用がありますので、必ず医師の指示どおりに薬を服用してください。
実際に使用される薬
| 種類 | 特徴 |
| 抗精神薬 | 焦燥感や怒りの感情を静める効果があります。衝動性を抑えるのに役立ちます。代表的なものにリスペリドン、オランザピン、クエチアピン、ペロスピロンなどがあります。 |
| SSRI | うつがあるときに使用されます。代表的なものにフルボキサミン、パロキセチン、セルトラリンなどがあります。 |
| 抗けいれん薬 | 衝動性の抑制のためにしばしば使用されます。 |
入院治療
入院治療は、生活の仕切りなおしが目的です。自傷行為や自殺行為などの問題行動が激しいとき、うつなどがひどくて治療に通えないとき、暴力などで家族の負担が重いとき、患者自身に休息が必要なときなどに入院治療が適応になります。病院に押し込めるというイメージがありますが、患者だけでなく、家族にとっても入院が望ましいこともあるので、ポジティブにとらえるようにしましょう。
入院生活では、定期的に医師の診察を受け、薬の調整などを行って生活します。状態がよくなれば、医師や本人、家族と相談して退院を考えます。退院後のことも入院中にしっかりと話しておきましょう。
家族の支援
家族が積極的に治療に関わることで、治療の結果も異なります。患者と家族が一緒に面接を受ける、患者と家族がそれぞれ面接を受ける、数家族が集まって行うグループミーティングなど、家族が治療に関わることでよい結果が生まれやすいようです。家族も現状を理解し、対応を見直すことで、患者とほどよい距離を保ち、患者本人にとって良い環境を作ってあげることが大切です。
社会療法
社会復帰のはかるために、病院やクリニックなどで行われるデイケアなども有効な手段と考えられています。患者が対人関係でトラブルを抱えるのは、適切な社会的行動がとれていないからです。患者が集い、ともにさまざまな活動をすることによって、実社会に戻る練習ができます。ある程度落ち着いてきたらデイケアの利用も考えましょう。










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